nats-LOG

オペラ、クラシック、旅、ファッション、ラグビー、時々ジャニネタと好きなことを気ままに書いてます。

ブライトンの奇跡

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長期休暇とシルバーウィークをあわせてパリ、ポルトリスボン、ロンドンと回ってきた。
今回の旅の目的は何といってもラグビーのW杯!!
ジャパンではなくスプリングボクス(南ア)サポーターの私は、日本と南ア、両者ともに初戦であるこの試合に照準を当てて旅のプランを練った。


日本でもビッグニュースになったとおり、現地で素晴らしい体験をしたので、今夜のスコットランド戦前に私が体験したことを記録しておこうと思います。

ブライトンはロンドンから電車で1時間強の郊外の穏やかな街。
ロンドンからの電車には緑のジャージを着込んだボクスサポーターが結構な数いて、私も日本人ではあるが彼らと同じ緑のジャージを着て電車に乗り込んだ。
非国民と言われようとも、2007年のW杯以降、ボクスが好きだから仕方ない。

電車では日本を応援する現地のイングランド人も混じり、すでにお祭りモード。
ただ、どう考えても相手が強すぎる。
スコアは70対10くらいかな?なんて友人と話しながら決戦の地に向かったものである。

ブライトンからまたローカル戦に乗り込んでファルマーという小さな駅へ。
小さい駅なだけにもうパニック状態であったが、試合を楽しみにするファンの雰囲気はまた良いものであった。

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スタジアムに到着すると、日本から応援にきたジャパンサポーターもちらほら。
でも圧倒的にボクスのグリーンのジャージが多い。
スタジアム内の4割が緑のボクス、2割が赤のジャパンのサポーターといったところだろうか。
残りの4割はどちらをサポートするわけでもないイングランド人。

私のお隣もイングランド人だったが、始まる前にお喋りをしていて、
ラグビーガール、君は日本人じゃないのか?なんでボクスのジャージを着てるんだ?」と言われたが、「私は日本人だけどボクスのサポーターだから」と伝えると、面白いねーなんて言われてしまった。
日本チームはどう?調子はいいのか?と聞かれてもボクスサポーターの私は分からなかったけれど、頑張るとは思うけれど、相手がボクスじゃ勝てないよ。。。と伝えていた。

いざ試合が始まると先制点はジャパン。
お隣のイングランド人のおじさまも「ジャパン、いいじゃないか!僕はジャパンを応援するよ
と序盤からのジャパンの頑張りに日本贔屓に。

前半が終了した時点で、スコアは五分五分。
こんな展開、誰が予想できただろうか。
ジャパンサポーターでさえもここまでジャパンが健闘するなんて思っていなかったと思う。
ボクスのアタックを許さない徹底したディフェンスが何とも素晴らしかった。
エディ・ジョーンズHCの凄さを改めて感じた。

後半もどうにか付いていって、テレビでもたくさん放映されていた五郎丸選手のトライ。
あの瞬間からジャパンは本気で勝ちを取りにいったと思う。
あのトライはバックスが一丸となって勝ち取ったもの。
田中選手からのパス、小野選手が順目にパスせずにクロスで松島選手へ。ここでボクスのディフェンスが崩れ出す。
そこに間髪いれずにスピードに乗った五郎丸選手へのパス。
実はその外に山田選手も控えており、ここでボクスに捕まってもまだジャパンにはトライを取れる要素があった。
田中選手、小野選手のハーフ団の判断と戦略が鳥肌たつくらい素晴らしかった。
ボクスサポーターであっても、プレイの素晴らしさには拍手を送った。


そして3点ビハインドで試合終了の時間がやってきた。あと1プレイというときにボクスがペナルティ。PGを狙えば確実に同点で試合を終えられるが、ジャパンは試合続行を選択。
この選択が素晴らしいといえば素晴らしいが、相手がはシンビンで1人欠けている。
ディフェンスで1人欠けているのはどう考えても不利。
それが世界ランク3位のボクスであろうと完全に不利である。
だからあの選択はある意味当然だと個人的には思うのだが、まぁそれは置いておいて、このときスタジアムは完全にジャパンモード。
どちらのファンともいえない4割の観客までもがジャパンコール。
秩父宮でも見られないくらいのホーム感溢れる瞬間だった。

そして執念の逆転トライ。

考えても見なかったことが起こった瞬間であった。

絶対に負けるはずがないと思っていたボクスの敗戦。

日本人でありながらボクスサポーターである私はなんとも複雑な心境であった。
そして隣のイングランド人のおじさまに、「ファンタスティックだ!!ジャパン、素晴らしいよ!」とハグされ、近くのボクスサポーターからも「おめでとう!素晴らしかったよ!」と言われる。


南アフリカからしたら「雑魚のジャパン」に負けるという屈辱極まりない瞬間であったにも関わらず、荒れることもなく賞賛の声をかけてくれるという素晴らしい精神に完敗した瞬間でもあった。


試合の途中から冷えてきたので上着を着ていたため、私の緑のジャージは見えない状態。
完全にジャパンサポーターと思われてしまうため、試合後にスタジアムを出るまでに皆から「おめでとう!」と声をかけられる。もうこうなったらエセジャパンサポーターになってやる!とその暖かい言葉を受け入れながら、何人の人とハイタッチやハグをしただろう。。。
もう、上着脱げない。。。


あるイングランド人からは「何十年もラグビーを見てきたけれど、こんな試合は初めてたよ。本当に素晴らしかった。おめでとう!」と言われ、ある南アサポーターからは「完全に負けたよ。おめでとう。」と言われ、私は何もしていないのに、しかもボクスサポーターなのに、賞賛と祝福の言葉を大量にいただきました。


駅に続く道でもジャパンコール。
どれだけのことをジャパンがやってのけたのか、どれだけの人に感動を与えたのか、この試合がW杯の歴史に残る一戦となったことに間違いはない。


電車の中でも途中で降りていくボクスのサポーターとハイタッチしたり、試合が終わればお互いに健闘を讃え合う、これがラグビーノーサイド精神で、ラグビーの最大の魅力なんだなと身を持って体験できた。


こんな経験は二度とできないかもしれない。
ボクスの負けが悔しいし、ショックでもあったけれど、それ以上の経験をさせてもらったブライトンの奇跡。
試合内容だけでなく、試合後のサポーター同士の触れ合いにも奇跡を感じました。


そして日本相手にベストなメンバーで挑んでくれたスプリングボクスにも感謝でいっぱい。
格下すぎる相手であるが、スター選手勢揃いで本当にありがとう!!


翌日はニュージーランド対アルゼンチンを観戦に行ったが、そこでも日本人か?おめでとう!ジャパン!ジャパン!と英雄扱いされた。


ラグビーファンが日本の戦いに感動し、ジャパンをリスペクトした瞬間に立ち会えた。
これがどれだけ幸せなことか。。。お金では買えない、プライスレスな体験をできて、本当に行って良かったと思った。

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さぁ、ボクスはこれからだ!!
その他の試合を全勝して1位抜けしてほしい!!
今年は優勝してほしい!!
日本戦の敗戦からどのように調整してくるか、次のサモア戦が楽しみである。

またジャパンは中3日という過酷なスケジュールでどのような試合をみせてくれるか、数時間後のスコットランド戦も楽しみである。