nats-LOG

オペラ、クラシック、旅、ファッション、ラグビー、時々ジャニネタと好きなことを気ままに書いてます。

青い種子は太陽のなかにある 2015/8/11

幕が開いて2日目、見に行ってきました。

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蜷川演出×寺山脚本という私にとって試練になるだろう作品、初見は全体を把握することに精一杯だった。
ストーリーは予め頭に入れていたので、演者さんの演技や演出、音楽を楽しみに劇場に向かった。

セットはかなり勾配のついた舞台奥が高く丘のような中に、理解の出来ない不思議なオブジェが数台。
薄汚れた混沌としたスラム街の雰囲気が出ていた。
イメージとしては四季のジーザスクライスト=スーパースター(JCS)のセットのような勾配の効いたステージ。

群衆の中から亀梨くん演じる主人公の賢治が登場。

なんか舞台構成がJCSっぽい。
そして主人公が歌い出すなんて、JCSのHEAVEN ON THEIR MINDとしか思えない幕開け。
大好きな部類だ。うん、期待持てそう!
と楽しみで胸が高鳴る。
亀梨くんの全身を使った訴えが強く伝わってくる。
発声は舞台向きではないし、歌詞が聞き取りにくい面もありながらも、役に魂を吹き込んで演じているのは十分に伝わってくる。
少しだけロック風味のブルースなのだろうか?出だし好調。
まぁ、私は亀梨くんのファンなので甘めな見方ではあるのだが…

スラムの多様な人達も面白い。
とにかく煩わしいくらいに混沌としていて、これが蜷川氏が狙っていたところなのかもしれない。
どこか世の中に不満を持ちながらも、その日暮らし。深いことは考えずに、ただ毎日を生きている人々。

まぁ、美しくはない舞台なのだが、そこでヒロインを演じる高畑充希ちゃんの弓子が登場。
スラムの人々と一線を画するピュアさ、爽やかさが舞台のエッセンスになっていてなんとも清々しい。

賢治と弓子が初めて言葉を交わすシーンは歌にのせて演じられるのだが、これがすごく可愛らしくて、初々しいカップルがこの舞台の美なのだなと感じた。

充希ちゃんの歌声はそれはもう美しくて可愛くて、聞き心地がとても良くて、さすがだった。
役柄的に抑えているのかは分からないけれど、歌い上げる感じではないのは、これがミュージカルではなく、音楽劇だからなのか?
そもそも音楽劇って何?なんだけど。

2人の可愛らしいシーンと群衆の世俗的な雰囲気との対比がとても面白い。

舞台が進行するにつれ、賢治の父親や政治家の娘・マリーが舞台を濃くしている。
とにかく六平さん演じる賢治の父親は最高!
出てきた瞬間から空気を変える、これぞ生で観劇してるから味わえる演劇の空気感。
うーん、こういう空気を感じられるから観劇はやめられない。
コミカルなシーンからシリアスなシーンに一瞬で転換させる演技力に圧巻だった。

またゲイの花ちゃんのダンサーさんのダンスが半端なくて、とても素敵だった。
パンフレットで確認するとシルクドソレイユのダンサーさんだったのね。
いや、本物は違う。
ダンスのことはよく分からないけれど、素人が見てもその素晴らしさに息を飲む。
花ちゃんの見せ場はとにかく見応えがあって大満足。

またマルシアさんも印象的だった。
情感溢れる子守唄に感動したもの。
ジキルとハイドのルーシーといい、マルシア=娼婦は間違いがないね。


ストーリーとしては決して楽しいものではなかったけれど、ところどころに楽しめる箇所もあり、舞台っていいなと思った初見だった。


…とここまで、良いことばかり書いているけれど、決して個人的満足度が高かった訳ではない。

カンパニー全体のまとまりのなさ、どうにかならないのかな…
もっと一致団結して舞台を作って欲しい。
あれだけの人が乗ってる舞台だから、息が合ったときは素晴らしいものが生み出せるのではないかな?
2日目なのに何か惰性的な面を感じてしまった。
ただカンパニーの成長は舞台を通してしていくものだと思うので、まだまだ私も数回見るので、見るたびに成長をしていくことに期待と楽しみを感じてはいる。


亀梨くんの体当たりの演技も良かったのだけど、演技が一辺倒に感じ、途中で正直飽きを感じてしまった。
2幕ラストの演技とはすごく良くて好みだったんだけど。
キャラを通すためか、基本的に演技プランが同じ気がしてしまった。
これも場数を踏めば変わってくると思うし、演技の緩急で客席をぜひ引き込んで欲しい。
ただ、今まで見たことのない亀梨くんを感じられるシーンも多々あったので、新たな発見がファンとしては嬉しくも思った。
どんどん賢治を吸収していって欲しいな…
ファンだけど、ちょっと辛辣になってしまったけど、私は亀梨くんを見に行く以上に作品を見に行くが勝るので仕方ない。
一ファンとして頑張っている姿に文句を言うつもりはないし、頑張っている姿を応援しているけれど、作品を良いものにするには、やっぱり亀梨くんの力量に左右されるからね。

次は週末に観劇予定。
作品の成長を期待して、私としても1度目では見えてこなかった面を感じられるように、気持ちをフラットにして2度目の観劇をしたいと思う。

音楽劇だからか、蜷川作品の言葉攻めもいつもよりは耐えられた。
見る側の私ももっと成長しないと…