メリーウィドウ MET2015
先週に引き続き、録画していたMETのLVを消化。
LVでは初というオペレッタ。
オペレッタは本当に楽しくて大好き。
ただ日本にいるとそこまで見る機会がないため、劇場で観たことのある作品は「こうもり」、「チャールダーシュの女王」そしてこの「メリーウィドウ」の3作品のみ。
そんな有名なメリーウィドウの演出はブロードウェイの名演出家であるスーザン・ストローマン。
そしてブロードウェイの女王で私も大好きなケリー・オハラまで出演するという。
これ、楽しくないわけない!!
上演されていた頃も、遥か遠い東京から羨ましさ満載で、すぐにでもニューヨークに飛びたい思いだった。
総じて言うと、オペラだけでなくミュージカルが好きな私としては、大変見応えがあり、最高のエンターテイメントだった。
これはMETだから出来たと思う、エンターテイメントの集結を形にしたものだと思った。
ウィーンでもベルリンでもミュンヘンでも、このエンタメ性は出せない。
ウィーンのオペレッタではなく、ザ・アメリカンエンターテイメントである。
主演のルネ・フレミングはチャーミングで素敵だった。
年齢を考えると守りに入ってもいいようだけれど、挑戦する姿、楽しんでる姿は見ていて元気をもらえる。
そしてケリー・オハラ。
ミュージカルとオペラの発声は異なる。
マイクを通さないオペラやオペレッタはベルカント歌唱が要求されるが、美しいソプラノを響かせていた。
3幕ではフレンチカンカンを踊りながら歌うのだが、ここぞとばかりにケリー・オハラの持ち味を生かしていて、METではなく、ブロードウェイミュージカルを見ている感覚になった。
どのシーンでも表現力が豊かで、METに新しい風を吹かせていた。
そして驚いたのがサー・トーマス・アレンが演じるツェータ男爵。
この方、正統派オペラで正統派な重鎮というイメージだったけれど、何ともコミカルに演じていて、その演技力に驚いた。
こんな一面もあったのね。
オペラ勢がここまでコミカルに表情豊かに舞台を作り上げることが出来たのは、やはりブロードウェイの力だと思う。
最近は読み替えで品性があれれ?と思うものの、やはりオペラやオペレッタは基本は品を失わない。
音楽に品性があるからだと思う。
それを良い意味で壊し、一般人でも身近に感じることが出来るように、こちらの世界に寄せてくれたのが、演出家ストローマンなのだろう。
音楽的な知識がゼロでも、誰でも楽しめるオペレッタを作り上げたのだ。
音楽がハイソな時代に、一般市民に楽しめるように、こちらの世界に寄せようとしたモーツァルトやベートーヴェンがやりたかったことが、この21世紀に実現した姿であると言っても過言ではないと思う。
それくらい、オペレッタのエンタメ性を追求して出来上がった作品な気がする。
そしてそのエンタメを支えるのは紛れもなく美しい旋律や和声であり、結果として最高なエンタメが生まれたのでは?
個人的には、先鋭的な演出も受け入れられるので、本当に楽しめて大満足。
そしてオペレッタをもっと日本でも見たい。
オペレッタはオペラに比べると自由度も高いし、クラシックの高い垣根を壊す役割を担えるのでは?
私自身も、オペレッタをもっともっと知りたいし、歌いたい。
色々な可能性を見たMETのメリーウィドウだった。