イオランタ/青ひげ公の城 MET2015
今週のオペラはMETの2015年の公演、イオランタ/青ひげ公の城。
ラグビーの6ネーションズがJスポからWOWOWに切り替わったため、WOWOWの契約をして嬉しかったことは、このMETが観れること。
毎度LVも行けないし(上映期間が短いんだよぉぉ)、シーズン遅れだろうと何だろうと有難すぎる放映。
しかし、録画は溜まる一方でなかなか消費できてないのも事実。
ってことで、今週は録画していたこの2作品を。
2作品と言っても、METでも同時上演していた。
しかし全く異なる作品を演出でうまく繋げるという素晴らしい試みだと感じた。
イオランタは、アンナ・ネトレプコがイオランタ姫を演じ、さすがのレベルの歌手勢。
ワレリー・ゲルギエフとネトレプコの組合せ、かつロシア物で熱くないわけない!!
という期待を裏切らない素晴らしい出来で、集中が途切れることなく観ることができた。
チャイコフスキーのメロディの素晴らしさは言うまでもなく、やはりさすがのメロディメーカーだと感じさせてくれる美しい旋律の嵐。
この2作品は観るのは初めてだったので、とても楽しめた。
イオランタに関しては、アリアも有名どころが多いため、知ってる曲はありながらもストーリーをきちんと把握できていなかったので、なるほどねという気持ちで見ていた。
1幕のみ、かつストーリーも分かりやすいので、これはオペラ初心者が観るにも良い作品かもしれないなとも思った。
私はアンナ・ネトレプコが大好きなので、彼女のちょっと影がありながらも清らかさのある歌声とチャイコフスキーのメロディがマッチしていて、贔屓目に感動。(基本、彼女の歌は何倍にも増して良く思える体質なので)
可憐なお年頃はとっくに過ぎてるけれど、歌いだすとあら不思議。
何とも可憐な少女に思えてしまう。
そして何よりも演出の美しさ。
今回は音楽より何よりもオペラがただの音楽ではなく、エンターテイメントだと感じさせてくれるトレリンスキの演出が憎すぎるくらいツボで、これを生で見たらさぞかし感動するだろうなと思った。
通して見て、オペラとしても好きな部類だったので、中々出会えない作品だけれども、タイミングがあえばどこかのプロダクションのこの作品を見てみたいと興味を持った。
そして青ひげ公の城。
こちらはとてもアダルトに作られていて、また、精神世界が目の前に現れた感じだった。
それにしてもバルトーク、また複雑な音を作ってくれたもんです。
なかなか入ってこない旋律やリズム、難しいわ。
まずこれを歌えて、かつ演じることのできる人を尊敬してしまう。
不気味な世界観を煽る音楽と演出に、ただただ見てしまうというね。
今回は本当に演出が面白くて、2作品をリンクさせるところが至るところに表れていて、そんな視点で見ても楽しめた。
童話がモチーフであることは共通しているが、童話なんて可愛いものじゃない。
心の中を視覚化するってこういうことなんだと思わせてくれた。
またプロジェクションマッピングを効果的に使用したこの演出に、21世紀のオペラってこうなっていくのねと感心してしまったり。
以前は読み替えとか、絶対に嫌だという否定派だったけれど、最近は読み替え作品が面白く感じるようになり、むしろ肯定派になってるけれど、そんな中でもこの演出はすごく好みで、トレリンスキの演出オペラをもっと見たくなった。
どうしても音楽優先なので、このオケで、この歌手で、この作品でという視点で観るオペラを選択してしまうが、演出で追っかけるのも面白そう!
やっぱり無理してでも、トリスタンのLVに行っておくべきだったかも。
トレリンスキ、注目です。