ワーグナー「ワルキューレ」新国立劇場 2016.10.15
久しぶりの新国立劇場でのオペラ鑑賞。
ドイツオペラが好きなので、もちろんワーグナーも大好き。
リングは音楽もストーリーもワーグナーの中では入り込みやすい作品です。
不気味な序曲。
何かが起こる不吉な予感。
オケも大きな編成なので、音の洪水に飲み込まれそう。
飯守さんと東フィルが作り出すワーグナーの世界の1歩目から、低音、特にチェロバスがうねり、熱い!!
ところどころうーんと思いつつも、ワーグナーの描いた音符が駆け巡り、興奮してきました。
幕が上がり、斬新なセット。
かなり傾斜のある傾いた部屋。
扉を開けると嵐の夜がその一角から見える。
ジークムントのグールド氏、第一声というか息を切らして入ってくる息の音まで聞こえました。
そして歌っても素晴らしいパワフルで強い声。
ワーグナーはこうでなくちゃ!
とにかくすごいワーグナーを感じる声で、その圧倒的存在感に期待しかない。
1幕のお楽しみ「ヴェーーーールゼーー!!」×2は力強いロングトーンで大満足。
淡々と語るときと、熱く歌い上げるときとを緩急つけて、終始飽きさせない歌でした。
そしてジークリンデのウェーバー氏。
声、デカイ!!なのにすごい澄んでる。
重くてどっしりした声というよりも、声自体はとても明るくピュアな声。
だけどすっごい声量なので、声の厚みなんて関係ない感じ。
ジークリンデはブリュンヒルデと対比させたいから、個人的にはこの声のジークリンデは良い。
このジークリンデの声が活かされてるのが、春が訪れるとき。
声から桜が散ってるかのような、明るく可憐な声。(でもすごい声量)
素敵な愛の二重唱でした。
対するDV夫フンディングのベーゼンドルファー氏も、嫌な男感満載で素敵でした。
ゲルマンな雰囲気と陰湿な声質が怖さを増してる!!
2幕から登場のヴォータンより怖かったかも!
そんなこんなであっという間に1幕終了。
冬から春、そして逃亡まで、なんか耳も心もぐったり疲れましたが、2幕は大好きなブリュンヒルデが出るので、幕間に英気を養う。
2幕、ヴォータンのグリムスレイ氏とブリュンヒルデの父娘からのスタート。
相変わらず親子に見えないオペラあるあるですが、ヴォータンの佇まいが素敵!
強いけれど、優しさ溢れるパパです。
そしてブリュンヒルデ。
声に重みがあり、女戦士な強さを感じさせる。
ドラマティコ、羨ましい…と思いながら、深みのある声にうっとり。
そしてママ、フリッカの登場。
どうでもよい(ストーリー的にはどうでもよくない)夫婦喧嘩に付き合わされますが、ツィトコーワ氏の美しさにうっとりしてしまいました。
声も美しいけれど、ルックスがさらに美しい。
この夫婦、すごい舞台映えします。
2幕は個人的にだれてしまうのですが、結構真面目に聴いてました。
で、3幕。
ワルキューレの騎行から。
何なんだ、この演出?!
うん。びっくり。
そして皆様お上手なんだろうけど、他の主要キャストの馬力が半端ないので、ちょっと迫力はダウンです。
8人いてもテオリンさんに勝てない…
2幕と違い、優しさ溢れながらも弱気なブリュンヒルデが、なんだか子供に見えてくる。
テオリン氏の表現の幅が広く、強い女戦士から駄々っ子のような女の子と変わる姿に感動です。
そして、ヴォータンとの決別。
このシーンは何度見ても辛い。
しかも今回は音楽というよりも演技にやられて、案の定泣いてしまいました。
パパ…辛い決断だったね…
2幕からずっと、ヴォータンがブリュンヒルデ大好きで、その愛がすごく伝わる演技だったので、ブリュンヒルデを眠らせた後、武器や防具を備えてあげる姿に、悲しみのどん底に落とされました。
そんなこんなで感動したワルキューレ。
素晴らしい歌手陣の素晴らしい歌声とワーグナーの音楽に感謝です。
あっ、あと照明が効果的だったのも良かったです。
照明重要!!
ワーグナー、もっと見たいしもっと聞きたい!!
予定では2019年にバイロイトを狙ってるので、それまでにもっともっとワーグナーを聴き込みたいです。
メインキャスト